路地の回廊 / Cloistered alley

Row house / Tokyo / 2020.12

photo_Tomoyuki Kusunose


所在地:東京都

主要用途:専用住宅(長屋)

敷地面積:39.10㎡

建築面積:31.09㎡

延床面積:55.39㎡

構造:在来木造

規模:地上2階建

構造設計:長坂設計工舎

施工:アクアハウス有限会社

写真:楠瀬友将

都市の小さな部屋 -路地の長屋に住まう-

江戸時代の町名が残る街区の奥、多層化し画一化しつつある路地に残された長屋の改修。周辺は徐々に木造3階に建て替わり始めている住居密集エリアである。

路地と連続した環境となるように長屋を再定義することで、持ち家・借家・賃貸併用住宅・空家が入り混じったこの路地を、さまざまなサイズの部屋が集まった大きな家のように捉えることができないだろうか。すると数年だけ借家をしたり、新しく隣家を購入したりというように、暮らしの要望や状況に合わせて、路地の中で伸び縮みする生活をイメージできた。 

周辺環境を纏う回廊

現状確認のために解体を始めると、長屋の中に隠されていた既存の躯体、増築された柱・梁が現れた。南北にある大きな窓からは風がぬけ、光が射し込み、隣家の気配が感じられた。そこで周辺環境が流れ込む吹抜けを中心に、新しく追加する柱・梁・筋交・小さな部屋・階段・家具を、外壁・窓・少しずつ改変されてきた架構と噛み合わせをずらしながらスパイラル状に連続させた。

路地脇の小さな庭に面したダイニングキッチン、暗く落ち着いた図書コーナーと書斎、階段と合わさったライブラリー、朝日の差し込む寝室、サンルームのように明るいクローク、物陰に隠れたバスルーム、架構の中に浮かんでいるハナレなど、すべての空間が吹抜けを立体的に取り囲むことで、屋内環境に屋外環境が取り込まれ、暮らしの豊かさを生み出している。

家の真ん中にできた新しい環境が、昔と今/既存と新規/架構と家具/1階と2階/内と外/手前と奥、を混ぜ合わせ、段階的に形成されてきた街や路地や長屋と新しく埋め込まれる建築との間を取りもっている。

この小さな都市の部屋のような場所での生活を通して、長屋が積み重ねてきた路地との関係を結び直し、発展させていきたい。

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